kakasi-1994-katu10のブログ

薪ストーブとお山とテレマーク

薪焚くひとの思案とき 5W1H -5          #7

パパここ


                 薪継ぎのこと  
 ストーブに投入した「薪が何時間燃えているか?」との問いに対する回答はいく通りもある。投入した「薪の燃焼」についての定義がないからだ。この定義を次のように定めると、「一回に投入した薪は何時間くらい暖かいですか?」それぞれの使用者が自分の経験で回答ができるが、これでも薪の投入量、燃焼時間に対する定義が定まっていないため同じことだ。
 投入してから何時間も煌々と炎を踊らし燃焼する薪はない。「薪の一生」は投入後、ストーブの温度が高ければ(私の場合130℃以上)、たちまち薪の表面に火が回りだし、激しい燃焼が始まり表面全体の炭化が始まる。いぶされた薪から可燃性ガスが発生し、二次エアーに触れて安定した、穏やかな燃焼に移行するが、この状態は、たかだか1~1時間半経過する頃には、薪の躯体が瓦解し始め、熾き炭となり無炎燃焼で終了する。たとえば、就寝前に投入した薪が、朝起きてストーブの火床に様々な形の熾きとなり、いくつも生き延びていることを考えると、10時間近く「燃えている」と言う事ができる。また2倍の量の薪を入れても2倍の燃焼時間が得られるものではない。2倍のまきを入れたらそれ相当のエアーが必要なだけだ。 ダンパーで排気を制限しても、適正なエアーが供給されないので、結局不完全燃焼をまねくだけだし、普段の倍もストーブに入れたら熱くてどうしようもないことになる。ただいえることは、それ相当の熾きが残ると言うことになるから、起床時に部屋の温度がどれだけかは違うことだろう。 また焚き付ける際に、細い薪を数本入れただけですぐ火が立ち上がるほどの元気な熾きが残っていればよいが、かぼそい熾きだと「ファイヤーブラスター」や「火吹き竹」を使い、寝ぼけ眼で頭がくらくらするほど、格闘することになるから余計に始末に悪い。普通にたきつけたほうがよっぽどすっきりする。 ただストーブ本体の温度が高い分、立ち上がりのレスポンスは早いが、どうしても、朝の室内温度、熾き炭にこだわるのなら、無駄を承知で、就寝時に2~3本、3kg程度の薪を投入するくらいが許容範囲だが、あえてやらない。
 私のように、高価で貴重な薪をつめの先に火を灯すように、「最小消費量で最大熱効率」を第一に考える人間は、一本たりとも無駄に使いたくないので、就寝時に山ほどの薪を、起床時に多少暖かいからといって、投入する気にはなれない。
 私は22時頃に寝て、5時頃に起きて6時に着火を25年続けているが、起床時にストーブのトップに触れてせいぜい50~60℃ほどあれば「めっけもんだ」くらいの感覚だ。だから就寝前20~21時以降は薪を投入しないで十分だし、起きぬけのパジャマ姿で薪や灰をかまいたくない。朝起きたらすぐに小型灯油ストーブをこ1時間ほど付け、インターネットで、メールやフェイスブック、ブログのチェックをする時間に費やすことにしているし、人様の家の断熱効果のこともあるのでそこはあまり突っ込まない。


 以下に上述のような薪の、言わば無駄使いを如何に合理的に減らすかを、2つの「要因」である「引きずる」、「投入量、投入間隔」に関する考えを述べる。


 ストーブの暖かさの継続時間は、投入後1~1時間半ほどが「宴もたけなわ」である。重要なのは、その後熾きになった状態でどれだけ次の再投入まで引っ張れるかである。


(1)時間軸に沿った薪継ぎ
 「薪焚くひとの思案とき 5W1H-2#4」で少しふれたが、上述の「薪の一生」の通り、焚いていたストーブの薪が熾き炭になり始め、徐々にストーブからの「ほとり」が弱く感じる、若しくは部屋の温度が下がり始める頃に中華温度計(デジタル)にて確認し、薪を投入するわけだが、ほとりを感じることや温度計で0.1℃そこら下がっても寒いとは感じないし、大体部屋の温度が、30分や1時間たったところで激変するものでもない。従って薪継ぎをする時点って言うのは所詮感覚的に行っていると言うことだ。 ならばどうすることが合理的かと言えば、投入間隔をあらかじめ決めるという事ではなく、江戸時代より長く使われてきた、人の生活リズムにシンクロした時間軸「刻」(とき)の単位、前回#6で掲載した日報からも理解できると思うが、2時間(1刻)、1時間(半刻)、30分(四半刻、30分未満の概念はない。)という時間軸で且つ上述の感覚に従い、薪継ぎを行うことが合理的ではないかと思う。感覚という指標だけではなく、時間という指標を加味したほうが薪消費に関するぶれの大きさが補正できると考える。


(2)投入する薪の目標重量と投入量の把握
 ①投入する薪の把握は、前ブログ#6に掲載した表-2の通りで、投入ごとに以下の写真のように、吊るし秤で確認し、投入時間と伴にエクセルの日報に記録する。



 ②目標重量は下記の表-1の通りである。 本表は投入する薪の重量分を外気温、気象予報や室内温度等を考慮し薪の量を決めて、3~4本をストックからピックアップする。私は過去の記録から、「次の再投入までの間隔は1.5~2.0時間が一番頻度が高いことを経験している」から、表-1の右側の、薪の重量を諸般の条件を考慮し決めている。たとえば1.5時間間隔の欄で、寒、中、暖であるかの判断をして3.5、3.0、2.5kg見当で薪を投入する。この重量は大雑把の数値であり、あくまでも見当である。 次の薪継ぎは、小半刻間隔で、その時の「感覚」で詰めたり延長したりして、ひなが繰り返す。 所詮いくら長く引っ張っても3時間が限度であるし、それ以上なら薪継ぎの必要がない。寒くなったときに改めて焚きつけるのが潔い。

上表についての説明
①ピンクの網掛けはJotulのマニュアルに記載の標準(ベンチマーク)
②各行は寒暖の指標ならびに飛騨高山における節季の割り振り
③表中は寒暖の指標をストーブの発熱量をベンチマークを100%とし80、70、60%と
 し、この時の時間あたりの必要な薪重量を著している。
④表右は上述の通り、次の薪継ぎ間隔の期待値に値する薪の重量である。


 わたしは、ひとシーズンに何トンの薪を焚のか?一日の薪の使用量は何キロか?の、素朴な疑問に対し、多少手間はかかるが、私流を継続して実行している。またストーブの焚き方を幾つかの指標をもとに操作することは、ストーブに対する負荷の振れが小さくなり、言わば一定な扱いとなることから長寿命化も計れるし、ストーブより、私はむしろ重要だと思う、煙突への負荷も軽減することとなると確信している。

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