kakasi-1994-katu10のブログ

薪ストーブとお山とテレマーク

薪焚くひとの思案とき 5W1H -4           #6

私は寝ます

               ダンパーの機能の再認識


 ストーブの焚きかたは、人それぞれに個性があるように、さまざまな燃やし方があると思う。外は荒れ狂う吹雪のログハウスでパチパチと燃えるストーブは頼もしいと思うし、瀟洒な別荘でパイプを燻らし、バーボンをぐびりとくつろぐ時、傍らで穏やかに語っているストーブも好きだ。
 薪ストーブの始まりは、外で木々を燃していたのを、家の中へ持ってきて囲炉裏になりそれがさらに煙突を備えた鉄板の箱の中で燃やすようになったものと、西洋では、囲炉裏に煙道をつけたものから暖炉が普及した。しかも現代のストーブは、その主な目的は暖をとることと煮炊きをすることであり、今もさほどかわりがない。性能は昔のような一時燃焼のみから、欧米での排気ガス規制の関係で、二次燃焼、触媒、ハイブリッド、リーンバーン等の高度な付加機能を備えた機種に移行しているし、本体の材質も鋳鉄から鋼鈑へと変わりつつあると思う。また排気ガスがクリアーになれば燃費も向上するわけで、自動車の進歩と変わらないと言える。ただストーブの価格は高品質に進化した割にはびっくりするほど高騰もしていないし、モデルチェンジをするたびに車を買い替えるような人もそれほど多くないと思う。基本的に単純な構造のため、頻繁に故障するわけでもないし、半年以上は重苦しい置物であり、シーズンが終われば徐々に存在が薄れていくからだ。だがシーズン近くになると妙にそわそわするのも確かだ。ここで改めてストーブと煙突の関係を以下にまとめる。


(1)ダンパーの有効利用
 ストーブの性能、とりわけ燃焼効率については、炉内の温度を可能な限り高温に保ち続けることが命題であると考えるし、燃焼方式については各メーカーが創意工夫で対応しているが、たといストーブの性能がこの先進歩し、薪を上記のような燃焼効率の高いストーブで燃焼させたとしても、発生した熱エネルギーは継続的にストーブ本体に蓄熱されるが、それ以外の熱は少しのタイムラグで排気され大気へと放熱される。よってストーブメーカーは、購入者がどのような煙突(最低限のドラフト指定はあるにせよ)を使い、どれほどの熱を大気は排気させようが関係がないのである。ただひたすらにストーブの効率を向上(放出する熱をも考慮はしているが)させることが、購入者にとってはメリットであるわけだから。 ストーブを使う上で、排気がないと給気ができないという、原理原則は変えようがないし一連のものであると、無条件で受け入れるしかないのである。
 ただひとつだけ、この事にあがなうとしたら、前回のブログで述べたダンパーを有効的に使い積極的に、ドラフトの調整とは別に、排熱低減を図るということだ。


(2)ダンパーの機能
 ダンパーの主たる機能はドラフト調整のためであるが、意図的か否かにかかわらず、廃熱のコントロールも結果的に併せて行っている。ストーブの機種にもよるが、一次、二次の給気ベントを分離してそれぞれに燃焼状況に応じ操作をするような機種もあれば、私の機種ではエアーベントのみで全てを行うものもある。これらはストーブの操作に直接かかわるもので、一旦ストーブから排気されたものとは切り離して考えていた。だから従来はストーブの操作と、ダンパーの操作は別々の行為であると考えていた。


(3)矛盾
 「薪ストーブは大は小を兼ねない」といわれる。だから暖房面積に見合ったストーブを選びなさいと。もちろん多くの人は厳寒期に対応する機種を選ぶことになる。
 厳寒期に、メーカーの公称発熱量を目指し「がんがん」焚くときは悩むことはないが、ことさら初冬春先のストーブの扱いは細心の注意が必要となる。朝夕はさほどでもないが、昼間の気温上昇が激しいときなどには、ややもすると焚きすぎてしまった!と後悔するも、放置して炉内の火を落とすには小寒いときなど、一番厄介である。
 私の住む飛騨高山は春先によく朝は氷点下、昼間20℃前後と寒暖の差が大きい所であるから、切実な問題である。マア~5月頃になれば薪ストーブから灯油ストーブへと移行するが、どうしても4月下旬から5月上旬には朝夕だけは薪ストーブを焚くこともある。このような矛盾にたいし、厳しい気候の寒山の町でこのテーゼに対し、試行錯誤を重ね、自らの「薪焚くひと」としてのスキルの向上と5年間わたる「薪の消費」に関するデーターも蓄積してきた。


(4)ダンパーはストーブ操作の主役
 初冬春先の薪継ぎで、少々熱いと感じたとき、前回よりも薪を減らして投入する場合が多々ある。こういった場合は投入後、暫く燃焼状況を確認し、安定してからエアー調整に入るわけだが、前回のエアー、ダンパーポジションでは呼気給気とも多すぎるため、焔がちらつき安定してない時、ダンパーをさらに絞り焔を一旦落ち着かせ、さらにエアーを一旦絞り、徐々に開放しながら安定させることを無意識にやっていた。 前回の良好な燃焼をしていた時のエアー供給、ダンパーの角度では、排気給気供に過大となっているからだ。また過大とは、必要以上に熱を放出することであり同時にストーブへの蓄熱も削がれていることであるし、薪もその分無駄に消費していることになる。
 ここでひらめいた、ダンパーもストーブのさまざまな調節機能と常に連携して操作することを。つまりストーブからダンパーまでを一体のものとして捕らえてダンパーの開閉によりストーブの排気量を変化させ、言わば車の可変気筒エンジンのように排気量を変化させることにより、大きいストーブでも、「適切な最低限のまきで熱量を抑えて運行できる」はずだと。 これまで火力調整を給気エアーにこだわっていた概念とは真逆の発想だ。


 結論
 要するに投入する薪の量に応じ適切な排気をコントロールをできないかである。だから私は、排気が主でエアー給入は従であると考える。確かに焚き付け時はエアー給気が主であるが、巡航運転が始まれば「主従は逆転」するが、長年かかってたどり着いた結論だ。
 したがって少量の薪でも、排熱をコントロールすることでオーバースペックのストーブでも十分に使えるということ、すなわち「大は小を兼ねる」に帰結する。
 もちろんストーブメーカーがリコメンドするまきの重量の何割までなら許容範囲なのかは自分で割り出すものだし、定格温度以下で燃焼させ煙もくもくは論外の話だ。 私の場合はこの温度が比較的低い150℃(上限は320℃、クリーンバーン型)が下限なので、ありがたいが、それでも部屋の温度が上がりイライラしだしたら、まず更衣室、風呂場、トイレのドアーを順番に開放し、最後は一番奥の仏間を開放する。 それでも熱いときは薪継ぎをやめあきらめる。


 ストーブのダンパーの機能とエアーサプライは、可変気筒型の自動車の排気量とアクセルと同じことと考えれば、胸にストンと落ちるのではないか?


下表-1は次号で詳しく解説しますが、上述の気候別、薪継ぎの許容量
 〃   -2は直近の薪消費日報(5年間継続)
             画像は右クリック「新しいタブで画像を開く」で拡大します。

                          表-2


 最後に私の希望なのだが、上述のように煙突ダンパーは個人のストーブ環境でそれぞれに対応するものではなく、ストーブ本体の「スモークアウトレット」部に標準装備として、ストーブ前面の操作性のよい所に、プライマリーエアーベンド、セカンダリー〃のようなレバー操作できるものを設置してもらいたいものだ。
                                     つづく

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